第2回 パーソナルAI研究会
パーソナルAIやグラフ文書等に関する研究発表の募集
人工知能学会 第2回パーソナルAI研究会を、MyData Japanカンファレンス2025の一部として開催します。 本研究会では、下記の概要で述べているパーソナルAI(PAI)や、グラフ文書(GD)による社会問題解決の構想などについて、その具現化や批判や拡張や改善に関する研究発表を募集します。 なお、本研究会は理研AIP分散型ビッグデータチームの成果報告会を兼ねています。
概要
研究会の基本的な目的
大規模言語モデル(LLM)等の急速な普及により、AIと人間のインタラクションは新たな段階を迎えています。この技術革新の中で、個人に寄り添うパーソナルAI(PAI)の重要性が増していくと考えられます。
PAIは小規模なLLM等を用いて実現可能な、特定個人に専属するAIであり、利用者とのマルチモーダル対話を通じていろいろなサービスを仲介します。それにより利用者のパーソナルデータが個人の手元に集約・蓄積されるので、PAIはそのデータを最大限に活用して大きな価値を生み出すと期待されます。
情報障害への対処とPAIの役割
本研究会は、パーソナルAI(PAI)とグラフ文書(GD)で個人をエンパワーすることによりさまざまな社会問題の解決を目指しています。特に、偽誤情報やエコーチェンバーやダークパターン等の情報障害(information disorder)が人間の判断を歪め民主主義の根幹を揺るがしている問題はきわめて重大であり、それを解消するためPAIとGDの普及が急務と考えています。
PAIとは各利用者に専属するAIエージェントであり、利用者と対話してそのニーズを満たすサービスを仲介(検索・実行)します。適正にリスク管理されたPAIが普及すれば、フェイクニュースやダークパターンによる不正な行動操作をなくし、注意経済と監視資本主義を終わらせられるでしょう。
まず、サービス仲介における検索があらゆる商品やサービスに及べばオンライン広告が不要になり、フェイクニュースやエコーチェンバーは広告に注意を引くという商業的価値を失います。また、サービス実行時のユーザインタフェースをPAIが提供すれば、サービス提供者が仕掛けるダークパターンも無効になります。
グラフ文書と批判的思考力の向上
しかし、情報障害の商業利用がなくなっても情報障害が消えるわけではなく、デマやヘイトスピーチが人々の判断を歪めることがあり得ます。そのリスクを管理するには人間の批判的思考力の向上が必須であり、それにはグラフ文書の共同作成(共同セマンティックオーサリング;共同SA)を普及させるのが最善だとわれわれは考えています。それは、共同SAがテキスト文書の共同作成より簡単であり、かつ共同SAによって余分なコストをかけずに人間の批判的思考力を高めることができるからです。
PAIとの複雑なマルチモーダル対話はラベル付有向グラフの形のグラフ文書の共同作成になると考えられます。本研究会では、PAIのユースケースやガバナンスの検討、グラフ文書に基づく利用者インタフェースの研究、一般市民も参加可能なグラフ文書作成ワークショップなどを通じて、この新しい技術の健全な発展と普及に貢献します。
活動計画
年4回程度の研究会を開催予定です。
- 定期研究会
- 全国大会でのオーガナイズドセッション
関連資料
パーソナルAIとグラフ文書に関する理解を深めるための資料をご紹介します。
- PLR (動画 1:23:26)
- Personaryの使い方 (動画 9:12)
- グラフ文書の作り方 [日本語 / English / English poster] (動画 10:34)
運営組織
主査
橋田 浩一(理化学研究所)
主幹事
白松 俊(名古屋工業大学)
幹事
門倉 悠真(東芝)
松原 勇介(理化学研究所)
谷沢 智史(東京大学)
お問い合わせ
研究会に関するお問い合わせは、sigpai@googlegroups.com までお願い致します。
過去の開催
第1回 パーソナルAI研究会(終了)
- 日時
- 2025年1月20日(月) 15:00~17:00
- 内容
- 主査がパーソナルAIとグラフ文書および本研究会の趣旨について説明し、他の関係者が関連研究を紹介しました。
- 開催形式
- オンライン開催(Zoom)
- 参加費
- 無料
- 対象
- パーソナルAIとグラフ文書に興味をお持ちの方どなたでも